給与所得者は勤務が継続している間は安定的な収入が期待できますが、制度的には、国からの課税や社会保険料の高い負担を求められています。特に世界的に見ても、高齢化の進捗が著しく、医療や介護について給付と負担とのギャップが大きく、モラルハザードとも言える現象が各所にみられることから、現役の給与所得者の負担(特に社会保険料に関する負担)が継続的に増加しています。現役の給与所得者を恵まれた存在・負担力がある存台としてとらえ、高齢者や国民保険加入者の負担を肩代わりさせてきたためです。このような構図はは、橘玲さんの著書で、20年くらい前から見事にえぐりだされています。こうした結果が、中堅・若年世代の閉塞感、更には少子化につながっていると考えています。
こうした状況をどのように変えていくかは、日本という国家が自らの衰えつつある国力を踏まえ、どのように制度設計を行い、どこにその国力をつぎ込んでいくのかという冷徹な検討を行っていく必要があると考えます。
こうした観点から、日本経済新聞の記事は大変すばらしい問題提起であり、高齢者世代と現役世代との負担の不公正という問題点に切り込んだというのは、マスメディアとしては極めて珍しく、評価されるものです。こうした動きを大事にしていかなければならないと思います。こうした問題提起をしていくのであれば、日経電子版の購入を継続し、日経を応援してもよいのではないかと思ったくらいです。こういった問題提起が後に続き、日本という国家が変わっていくことを期待し、応援しています。
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUA197ER0Z10C24A8000000/